小学生とか中学生くらいのころの記憶って実際どれくらいあります?
たまに「小学生のころなんて学校から帰って夕方まで遊んで飯食って寝るだけで毎日楽しかった」みたいな人がいるんですけど、聞くたびに心の中でほんまか?と思っています。
自分はわりとそういう小中学生くらいの、あまり良くない感情のことを忘れたくない派なので、子どもながらに悩んだこととか嫌だと思ったこととか、みんな本当はそれなりにあるでしょ?と思っています。
普段あまりスポーツアニメを観ないんですけど、先日『星合の空』に感情を乱されたのでなんか書きます。
公式サイトです。
https://www.tbs.co.jp/anime/hoshiai/
本作では、廃部寸前の男子中学ソフトテニス部を舞台に、ソフトテニスを通した様々な想いを胸に抱く少年たちの青春ストーリーが描かれる。主人公の2人を始めとして、主要人物の多くが家族の性格や家庭環境になんらかの問題を抱えており、本作における重要なテーマの一つとなっている。
(Wikipediaより抜粋)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E5%90%88%E3%81%AE%E7%A9%BA
だいたいそんな感じなんですけど、「主要人物の多くが家族の性格や家庭環境になんらかの問題を抱えており」の要素があまりにも苦しすぎる。
離婚したDV父親が夜に金をせびりに来たり、良くできた兄と比較されてキツい嫌味を言われたり、昔の虐待の火傷の跡が残ってるやつとか、典型的毒親に支配されて虚言癖気味になってるやつとか、話数ごとのキャラ紹介だけでもう濃厚すぎる。
設定だけでこれなんですけど、結構細かい家の中とか小物の描かれ方にも意味のある不穏さが漂っているのが良い。朝ごはんのシーンでお父さんだけ和食を食べてたりするんですけど、そういう感じの。
でも暗いだけかって言うと全然そんなことはなくて、転校生でズバズバ言う主人公が圧倒的センスで退廃したソフトテニス部を変えていく感じと、それによって主人公も優しさを見せたり純粋なスポーツの楽しみを感じていくあたりは王道青春ぽさがある。
成長の手応えを感じて嬉しくなったり、男子中学生っぽい謎の内輪ノリはしゃぎとか、そういう可愛さを感じられる部分も結構多い。
もちろん本題のソフトテニス描写もものすごく良い。ボールがこっち側に飛んでくるようなカメラワークも臨場感があるし、走ったりボールを打ったりするキャラの動き方がすごく丁寧で、良い意味でアニメっぽくない。
人それぞれなんですけど、個人的に負ける時に普通に負けるなーって感じでさらっと負けるのが好き。
途中から負けても得るものがあった、負けても楽しいから良かったっていう価値観を得ていくのもまたジーンときてしまう。
だから昼間の学校パートが健康的で純粋な希望に溢れるほど、夜の家庭パートがめちゃくちゃ怖い。だいたいそれがCパートで入ってくるのが余計に怖い。なんでCパートでやるの?
中学生ってゆーても子どもなわけで、大人の社会のどうしようもない理不尽には勝てないんですよ。離婚とかネグレクトとか過干渉とか。
はっきりと自分で嫌だと思ってもどうしようもないことが多々出てくる。子どもながらに、というか子どもだからこそのもやもやした痛みがすごく伝わってくる。
でもみんな少しずつ部活が良くなっていくにつれて、飲み込んだり乗り越えていくような姿勢が見えるんですよね。
個人的にはこれって、学校家庭以外の居場所で自我を得ていく過程なのかなと思いました。言葉にするとベタなんですけど。
特に最後のあたりの虚言癖くんなんか見てると、他人とコミュニケーションを取って自分の感情や意思を尊重させていく、みたいな思春期の一つの成長を見ているようで。
そういう気持ちのいい話で終わって欲しかったんだよな………。
思えば主人公とキャプテンは大人の理不尽に対抗するために「「「暴力」」」っていう最後の手段を握りしめながら肩を寄せ合っていただけなのかもしれない…。
もともと予定していた終わり方とは違うみたいなんで、なんらかの形で続編を見たい……。見せてくれ…。
ちぎりっていうと最初の「契約」のことかな?とも思うんですけど、う〜んどうなんでしょう。
とりあえずスペシャルファンムービーで警察とか少年院のカットとかが無くて安心しました。
いちおしの虚言癖くんです。
『星合の空』を観てくれ。